生活リハビリ講座vol.002       「脳卒中片麻痺の立ち上がりについて」

 

 

こんばんは!

 

変わる!介護の森です。

 

今日は「脳卒中片麻痺の立ち上がり」について書かせていただきます。

 

年間25万人発症されていると言われている脳卒中。介護・医療現場でも多く接する機会があると思います。ご利用者さまの中で片麻痺の障害があって椅子から上手く立てない方はいませんか?

 

なぜ立てないか、立てるようになる上でのチェックポイントを振り返ってみましょう。

 

 

 


片麻痺ってどんな症状?

 

「片マヒ」とは脳梗塞・脳出血など脳血管障害・脳の外傷よって出現する代表的な症状の一つです。人は脳からの指令があって手足を動かすことが出来たり、手で触ったものがどんな感触かなど知覚する(感じる)ことができます。

 

この脳の機能が何かしらの外傷や変性を受けてしまうことで、症状の一つとして「片マヒ」が出現してしまいます。

 

 

◯部位によって症状が出る

 脳にはそれぞれ機能を担当する部位があり、筋肉を動かす担当する「運動野」、触ったものを感知する、手がどのくらい動いているか分かるなど知覚を担当する「感覚野」、などが代表的にあります。

 

 それぞれの部位に脳血管が通っており血液を脳に送るのですが、これが詰まってしまうことで「脳梗塞」が、血管が破裂することで「脳出血」がそれぞれ発症されます。脳梗塞や脳出血はいずれも残存する障害は軽度〜重度と様々ですが、この発症によって脳の機能部位を損傷することで対応した障害が出るといわれています。

 

例えば、前述した感覚野が機能不全(損傷)になると「手足の感覚がわからなくなる」「ずっと手がしびれている」など感覚障害が出てきます。    

 

◯筋肉の障害は大きく分けて2パターン+両側にある    

では筋肉を動かす運動野が機能不全になるとどのような障害が出るでしょうか?介護現場で多くみられるのは全く腕や足が力が入らなくなる「弛緩性麻痺」、力が入り続けてしまい、力を抜くことが難しくなる「強剛性麻痺」があります。いずれも脳が障害することで起きる運動麻痺ですが、前者はほとんど力が入らないこと、後者は力が入るけど、コントロールが難しくなることが特徴です。

 

また片マヒというと片方の手足の力が入りづらい事がイメージがあると思いますが、健側(一見障害のない手足)や体幹部の機能低下を生じていることが多くみられます。     



立てない理由はなんだろう?

 

脳血管障害によって「片マヒ」になってしまうと何故立てなくなってしまうのでしょうか?

 

立ち上がるためには”重い上半身の重心が両足部の支持基底面まで移動することで上手く立ち上がる”という重心移動が大切になってきます。

 

この「重心移動」を可能にするためには前述した「感覚」や「筋力」がとても大切になってきます。

 

今自分の身体がどのくらい曲がっていて足にどのくらいの力がかかってくるか認識する「感覚機能」が障害されてしまうと常に片足が宙に浮いたような状態になってしまいます。そのような状態で立ち上がるとどんな感覚になるでしょうか?おそらく恐怖心や違和感を感じてしまい、立ち上がりを阻害してしまう原因となってしまいます。

 

また「運動機能」が障害されることでも身体を前傾させることやお尻を持ち上げることが困難となります。これらの「感覚機能」や「運動機能」を失うことによって「体幹のバランス反応」も低下してきます。こうなるとバランスを崩しそうになっても身体を起こすことが出来ず転落してしまう恐れがあります。そうするとますます恐怖心が強くなり、立ち上がりを益々困難にさせます。

 

◯健側の動きにも注目

 前述したとおり「片マヒ」といっても両側の機能低下つまり一見正常にみえる「健側」の手足にも筋力低下を生じている場合があります。なので、立てない場合に関しては「健側」の筋力や動きを見ることも大切です。

 


立ち上がりにおけるチェックポイント

 

まず片マヒを呈した方の移乗をする際には左記した図の「立ち上がり4つのポイント」の動きが出来るかを確認することが大切になります。

 

これらの動きが出来る場合に関しては「残存機能」として捉えしっかりと活用することが介助者のためにもご本人のためにも大切になります。

 

特に片マヒを呈した方は「感覚・筋力・バランス」が低下している可能性があるので、一つ一つの動きを明確に言葉で伝えてあげることが大切です。また、立ち上がりができない方でも「健側」へ重心移動を促すだけで立てる場合があります。これらをはじめに確認しましょう。

 

 

 

次回は強剛性や弛緩性の方に対してのポイントをお伝えします。お楽しみに(^ ^)

 

 

変わる!介護 森 惣次郎